大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和37年(オ)1071号 判決 1963年3月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士栗山政太、同三浦強一の上告状記載の上告理由について。

論旨は、上告人は選定当事者として上告するというのであるが、上告人は、原審に対し選定当事者として訴訟受継の申立をし、原審は昭和三七年六月二九日附決定をもつて右申立を却下しており、右却下決定に対する当裁判所への抗告は、民訴四一九条の二第二項の期間経過後の抗告であるとして、同法四一九条の三、四〇九条の三、三九九条に基き原審により却下されており、右却下決定に対する抗告も憲法違反を理由とするものではなく、採用できないことは当裁判所昭和三七年(ク)三九三号事件において、別に決定したとおりである。従つて上告人は、選定当事者として訴訟を受継し上告することはできないものといわなければならない。

同上告理由書記載の上告理由第一点について。

論旨は、原判決が本件訴訟は原告の死亡により終了したものとしたのは違法であるというのである。

公職選挙法二〇三条による選挙訴訟は、民衆訴訟であつて、都道府県選挙管理委員会がした選挙の効力に関する決定または裁決に不服のある選挙人、候補者は何人でも提起できるのであるが、訴訟を提起した原告が死亡した場合においては、現行法のもとでは、その訴訟を承継する者はなく、原告の死亡によつて訴訟は当然に終了するものと解すべく、原判示は正当である。選挙争訟の趣旨、目的からの論旨は、ひつきよう立法論であつて、この点に関する特別の規定のない現行法の解釈としては採用することができない。

同第二点について。

論旨は、原審が上告人の受継申立を認めないのは違法であるというのであるが、原審が上告人の受継申立を却下したのは、昭和三七年六月二九日附の決定であつて、原判決ではない。論旨は、原判示にそわない主張であつて採用の限りでない。

同第三点について。

論旨は、原判決が上告人の共同訴訟参加の申出を却下したのは違法であるというのであるが、訴訟終了後に訴訟に参加することができないのは明白であつて、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例